サルコイドーシス/肉芽腫性疾患
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長期観察中にPBC様所見を呈した肝サルコイドーシスの一例
藤田 匡邦東 征樹水野 史朗若林 聖伸戸谷 嘉孝出村 芳樹飴島 慎吾宮森 勇石崎 武志
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2001 年 21 巻 1 号 p. 63-67

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抄録
症例は67才女性. 1988年 (55歳時) に, 左眼の霧視を主訴に当院眼科受診し, ブドウ膜炎と診断され, 精査したところ, 胸郭内病変, 皮膚病変, 表在リンパ節病変を認め, 皮膚生検でサルコイドーシスと確定診断した. 1991年, 肝脾腫, 肝機能異常を来したため腹部超音波, CT, MRI, 腹腔鏡, 肝生検を施行し, PBC様所見を呈した肝サルコイドーシスと診断した. この時点からステロイド療法を開始し, 肝不全に対し胆汁酸利胆剤, 利尿剤, 分枝鎖アミノ酸製剤を投与, 食道静脈瘤に対し硬化療法を施行している. その後も喀血, 肝性昏睡, 糖尿病コントロールのため入退院を繰り返しているが, 現在は症状および肝機能ともに落ち着いており, 外来通院中である. 肝病変はサルコイドーシス剖検例の40%に認められるといわれており, また, 稀ではあるが本症例の様に門脈圧亢進症状を呈するに至る. 本症例は肝サルコイドーシスの診断からステロイド治療を開始し, 長期に生存している貴重な症例と考えられる.
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© 日本サルコイドーシス/肉芽腫性疾患学会
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