日本教科内容学会誌
Online ISSN : 2189-2679
音楽科からみるわらべうたの教科内容の特性
井上 薫
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2024 年 10 巻 1 号 p. 89-100

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抄録
本研究の目的は,わらべうたの備える音楽科の教科内容を明らかにし,その特性を考察することである。研究の方法は,まず,わらべうたの特性及び教育的意義について研究文献で調べ,わらべうたがもつ教育的意義の諸側面を整理した。次に,学校教育における音楽科のわらべうた教育の事例として,1960年代の「わらべうた教育運動」と2000年代の「21世紀のわらべうた教育」を取り上げ,そこで意識されている教科内容を検討した。最後に,わらべうたの教育的意義の諸側面を音楽科の教科内容の枠組みから捉え直し,わらべうたの教科内容としての特性を考察した。 結論として,わらべうたの教科内容としての特性が2点挙げられた。一つは音楽の生成を統合的に経験する教科内容であること,二つは意欲や創造性を育てる全人教育につながる教科内容であること,である。その教科内容は,遊びのエネルギーを基盤として学習され,創造的な自己表現の活動を方法として学習される。
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© 2024 日本教科内容学会
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