主催: 日本ソフトウェア科学会
我々は従来研究において,時相論理を用いて,互いにポインタで繋がれたセルから成るリンク構造を抽象化する方法を提案した.セルはあらかじめ指定された時相論理式の真偽の組み合わせを表す抽象セルによって抽象化され,リンク構造全体は抽象セルの集合によって抽象化される.本発表では,この方法を用いてセル・オートマトンを解析する試みについて述べる.従来研究と違って,すべてのセルが同期して状態を遷移させるので,各抽象セルの次状態を計算することにより,抽象化されたリンク構造の次状態が求まる.この新しい状態を再び抽象化するために,抽象セルの分裂と融合の操作を導入した.この方法により,実際に一次元(および二次元) のセル・オートマトンの簡単なものを解析することができた.本発表では,本方法のベースとなっている時相論理である2方向CTL(computation tree logic)とその充足可能性判定についても簡単に述べる.