2019 年 49 巻 2 号 p. 9-17
本稿の目的は、1930年代における城戸幡太郎の技能観とその意義を、知能との関係を中心に明らかにすることである。城戸は裁縫技能を対象として、知能と技能との関連構造を明らかにした。すなわち、知能と技能とは両者に共通に含まれる「統制力」によって、高い相関をもち、技能の獲得は、科学的な認識とは異なる方法によって知能に働きかけ、外界・対象を認識することである。このことを知的障害児技術教育において考えると、技能の獲得には、科学的な認識には解消し得ない独自の意義があるといえる。