移植
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サステナブルな移植医療を遂行するための当科の取り組み
藤尾 淳戸子台 和哲佐々木 健吾松村 宗幸菖野 佳浩小笠原 弘之滝戸 成人石川 裕貴海野 倫明亀井 尚
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2024 年 59 巻 Supplement 号 p. s155_1

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抄録

【はじめに】当施設は肝、膵、腎移植の腹部3臓器の移植医療と肝臓外科手術をスタッフ8人の同一チームで行っている。医師の働き方改革の新制度施行をうけ、労働環境整備は喫緊の課題である。我々は、1)手術手技の定型化による手術時間の短縮、2)移植翌日当番以外のフレキシブルな出勤、3)術後管理の簡素化、ICU医師とのチーム医療、4)当番翌日午後はフリー、5)外勤時間、時間外労働の管理、等を開始している。しかしながら増加する脳死移植に対応できているかは不明である。今回脳死移植が病棟スタッフの時間外労働にどのように影響をあたえているか重回帰分析を用いて検討した。【結果】2023年の脳死移植は12件、生体移植は12件であった。脳死移植は9件が土日祝日、3件が金曜日であった。互助制度は3件依頼した。病棟スタッフの平均時間外は56.7時間であった。時間外労働増加の有意な因子として脳死移植が抽出されたが、生体移植は有意な因子ではなかった。【考察】脳死移植が夜間休日に行われることにより時間外労働の増加につながっていることが明らかになった。一方同じ移植でも手術時間が長い生体移植の増加は時間外労働に影響を与えておらず、移植の周術期管理の定型化はある程度効果があると思われた。今後増えていく脳死移植を遂行するためにはスタッフの増員と、互助制度の利用が解決の糸口になると思われた。当科の取り組みを紹介する。

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