2024 年 59 巻 Supplement 号 p. s208_1
【背景】肝移植後免疫抑制導入療法におけるbasiliximab (CD25Ab)の使用は、拒絶反応の抑制、免疫抑制剤の毒性抑制など有効性が報告されている。当科におけるCD25Ab使用例について検討した。
【方法】2003年よりCD25Abを使用しており、免疫抑制プロトコールはC N I+メチルプレドニゾロン(MP)+CD25Abで導入し、その後MPを漸減、移植3か月後に中止(I群)。レジメンの変更として、2019年12月より移植後21日以降にミコフェノール酸モフェチルを追加(II群)、2021年8月より移植後14日目までのタクロリムス目標トラフ値を10-12ng/mLより、8-10ng/mLに引き下げた(III群)。CD25Ab使用例全体とこれら3群について、成績、3か月以内合併症を評価した。
【結果】対象は全体125例、I群: 88例、II群: 13例、III群: 24例。全体の1年、5年生存率はそれぞれ、89.6%、85.6%。拒絶反応は全体27例 (21.6%)、I群23例(26.1%)、II群3例(23.1%)、III群1例(4.1%)。サイトメガロウイルスウイルス血症は全体47例 (37.6%)、I群33例(37.5%)、II群4例(30.7%)、III群10例(41.6%)。腎機能の増悪例は、全体11例(8.8%)、I群7例(8.5%)、II群1例(7.6%)、III群3例(12.5%)。
【結語】CD25Ab使用の免疫抑制導入療法は、早期の拒絶反応を抑制し、安全に使用できる有効な治療法である。今後も拒絶反応や合併症の発生状況を検討し、至適免疫抑制療法を模索することが必要である。