移植
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ピッグ子宮移植トレーニングモデル作製について
加藤 容二郎吉武 理長島 稔島田 佳苗佐々木 陽介遠藤 和洋矢持 淑子関沢 明彦松本 光司青木 武士
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2024 年 59 巻 Supplement 号 p. s287_1

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抄録

ヒトでの子宮移植を開始する前に、動物実験未実施の施設では合併症、特に移植片摘出を含むgraft failureが多い傾向にある。そのため、国際産婦人科連合(FIGO)より、ヒトでの子宮移植後合併症を減らすため、予めサルを含む大動物実験を充分に行うよう勧告が出ている。それに伴い、我々はピッグ子宮移植トレーニングモデル作製を試みたので報告する。

【方法】3Rの法則に従い、2頭使用する他家移植ではなく、1頭使用で済むピッグ自家子宮移植モデルの作製から始めることにした。血管吻合は両側子宮動脈、両側卵巣静脈を使用した。

【結果】令和4年度は3件の実験を行い(1件目は開腹実験後・安楽殺前の個体を用い解剖確認~グラフト摘出まで)、灌流成功率50%、灌流成功後・血管吻合後血流確認率0%であったが、令和5年度は術式や周術期管理の方法を変更し2件の実験を行ったところ、灌流成功率100%、灌流成功後・血管吻合後血流確認率100%と成功率が改善した。

【考察・結語】文献検索上、家畜ブタ子宮移植での成績を確認すると、子宮グラフト摘出後、灌流成功率約37%、灌流成功後・血管吻合後血流確認率約57%(全体の約21%)と成功率が低い。より確実にピッグ他家子宮移植へ移行できるよう、本グループでの自家子宮移植トレーニングモデルを改善していきたい。

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