移植
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肺移植待機患者におけるフレイル・サルコペニアの有病率と臨床的意義の検証
大島 洋平佐藤 晋田辺 直也芳川 豊史中島 大輔大島 綾子吉岡 佑二濱田 涼太太田垣 あゆみ平井 豊博伊達 洋至松田 秀一池口 良輔
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2024 年 59 巻 Supplement 号 p. s296_2

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抄録

【目的】肺移植待機患者におけるフレイル・サルコペニアの有病率及び臨床的意義を明らかにする。【方法】当院にて肺移植適応評価に併せてフレイル・サルコペニア評価を行い、移植適応ありと判定された患者77例(平均48±12歳)を解析対象とした。フレイルは改定日本語版フレイル基準にて、サルコペニアはアジア・ワーキンググループによる基準にて診断し、有病率を算出した。更に、フレイル・サルコペニアと重要臨床指標(運動耐容能[6分間歩行距離]・健康関連QOL[SF-36])との関連を検討した。【結果】有病率はフレイル19%、サルコペニア43%であった。フレイル患者は非フレイル患者に対し6分間歩行距離(268m vs. 425m)及びSF-36の役割-社会的スコア(33点 vs. 47点)が有意に低値であり、サルコペニア患者は非サルコペニア患者に対し6分間歩行距離(289m vs. 474m)、SF-36の身体的スコア(28点 vs. 39点)及び役割-社会的スコア(40点 vs. 48点)が有意に低値であった。病状安定期におけるリハビリ経験者はサルコペニア患者1例のみであった。【考察】肺移植待機患者は高頻度でフレイル・サルコペニアを有していた。また、フレイル・サルコペニアは運動耐容能や健康関連QOLの低下と関連しており、待機中のリハビリ介入の重要性が示唆されたが、リハビリ経験者は著しく少なく、適切な介入の実施が課題であると考えられた。

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