移植
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献腎移植術前の腎性副甲状腺機能亢進症に対する副甲状腺摘出術(PTx)と移植腎予後
長谷川 雄基姫野 智紀島本 侑樹児玉 卓也青木 太郎西川 涼馬二村 健太岡田 学平光 高久一森 敏弘鳴海 俊治渡井 至彦
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2024 年 59 巻 Supplement 号 p. s356_3

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抄録

【目的】献腎移植患者は長期透析とそれに伴う副甲状腺機能亢進症を有する割合が高いため、生体腎移植患者と比較して、腎移植前に副甲状腺摘出術(PTx)が施行される頻度が高い。腎移植前のPTxが献腎移植患者の血管石灰化や移植腎予後与える影響は明らかではない。【方法】当院で2010年から2023年に施行された献腎移植を対象に移植前PTxと移植腎予後、血管石灰化について解析した。血管石灰化は画像解析システムVincentを使用し、腹腔動脈から総腸骨動脈分岐部までの大動脈石灰化をAgatston Scoreを用いて評価した。【結果】対象症例59例のうち、29例(49%)で腎移植前PTxが施行されていた。PTx施行群と未施行群では献腎移植時の年齢、透析期間、術前iPTH、Agatston Scoreに差を認めなかった (p=0.645, 0.218, 0.111, 0.523)。血管石灰化に影響を及ぼす因子として年齢、Brinkman Index、LDLコレステロール、HDLコレステロールを認めた。PTx施行群では、未施行群と比較して移植腎予後が有意ではないものの、良好な傾向にあった。(HR, 0.30; 95% CI, 0.080-1.146 p=0.0785)。【考察】移植前のPTxと献腎移植時の血管石灰化の程度に統計学的な関連は認められなかったがPTx施行群で移植腎予後がよい傾向を認めた。献腎待機中にかかりつけ医と連携し、喫煙やコレステロールの管理を行い、適切な時期にPTxを行うことで移植腎予後によい影響をもたらす可能性が考えられる。

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