2024 年 59 巻 Supplement 号 p. s387_2
【緒言】潜在性結核感染症(LTBI)治療指針において免疫抑制剤を使用する臓器移植、多量の副腎皮質ステロイド使用、慢性腎不全、透析は高リスク因子とされ、積極的治療対象とされている。今ブロリズマブペムイブロリズマブはLTBIを伴う末期腎不全に対して生体腎移植術を施行した1例を経験したので、若干の文献的考察を加えて報告する。【症例】71歳、男性。糖尿病性腎症を原疾患とする慢性腎不全に対しX-3年に血液透析を導入され、X-2年に生体腎移植術希望にて当科を受診された。X-1年10ヶ月に透析施設で施行されたT-SPOT検査において陽性が確認されたが、結核の既往歴がなく無症状であり、画像検査でも活動性肺結核病変を認めないことからLTBIと診断された。INH単剤にて6ヶ月間治療を施行したのち、X年に妻をドナーとするABO血液型適合生体腎移植術を施行した。導入免疫抑制剤はタクロリムス、ミコフェノール酸モフェチル、プレドニゾロンを通常のプロトコールに準じて使用した。術後1年以上が経過しているが、現在まで活動性結核の発症なく経過している。【結語】臓器移植患者は活動性結核発病リスクが高いとされ、移植前のLTBI治療が望ましいとされている。結核発病予防のために術前のスクリーニング検査は重要であると考える。