移植
Online ISSN : 2188-0034
Print ISSN : 0578-7947
ISSN-L : 0578-7947
潜在性結核感染症を伴う透析患者に対して生体腎移植術を施行した1例
菊池 尭北 博行玉井 健太郎齋藤 允孝杉本 公一森 康範林 泰司能勢 和宏今西 正昭吉村 一宏西岡 伯秋山 隆弘藤田 和利
著者情報
ジャーナル フリー

2024 年 59 巻 Supplement 号 p. s387_2

詳細
抄録

【緒言】潜在性結核感染症(LTBI)治療指針において免疫抑制剤を使用する臓器移植、多量の副腎皮質ステロイド使用、慢性腎不全、透析は高リスク因子とされ、積極的治療対象とされている。今ブロリズマブペムイブロリズマブはLTBIを伴う末期腎不全に対して生体腎移植術を施行した1例を経験したので、若干の文献的考察を加えて報告する。【症例】71歳、男性。糖尿病性腎症を原疾患とする慢性腎不全に対しX-3年に血液透析を導入され、X-2年に生体腎移植術希望にて当科を受診された。X-1年10ヶ月に透析施設で施行されたT-SPOT検査において陽性が確認されたが、結核の既往歴がなく無症状であり、画像検査でも活動性肺結核病変を認めないことからLTBIと診断された。INH単剤にて6ヶ月間治療を施行したのち、X年に妻をドナーとするABO血液型適合生体腎移植術を施行した。導入免疫抑制剤はタクロリムス、ミコフェノール酸モフェチル、プレドニゾロンを通常のプロトコールに準じて使用した。術後1年以上が経過しているが、現在まで活動性結核の発症なく経過している。【結語】臓器移植患者は活動性結核発病リスクが高いとされ、移植前のLTBI治療が望ましいとされている。結核発病予防のために術前のスクリーニング検査は重要であると考える。

著者関連情報

この記事はクリエイティブ・コモンズ [表示 - 非営利 - 改変禁止 4.0 国際]ライセンスの下に提供されています。
https://creativecommons.org/licenses/by-nc-nd/4.0/deed.ja
前の記事 次の記事
feedback
Top