熱帯農業
Online ISSN : 2185-0259
Print ISSN : 0021-5260
ISSN-L : 0021-5260
Amazonia地域における胡椒の根系から見た栽培上の問題
寺田 慎一千葉 守男
著者情報
ジャーナル フリー

1971 年 15 巻 1 号 p. 20-26

詳細
抄録

根系の特性
1.根系は苗の各節から発達した不定根に由来し, 生育の進むにつれて養分吸収根群と水分吸収根群とに分化する.前者は浅根性であり後者は極めて深根性である.
2.通気性のよい条件において発達がよい.
3.養分吸収根の分布は放射状的にも深さによつても疎密があり均等ではない.
4.養分吸収根の伸長は果房の成熟収穫後間もない乾季後期に開始する.
5.T/R比の値は年次が進むにつれて増大する.
6.肥培管理の良否は根系だけでなく, 全体の生育量に極めて大きく影響し, 管理不良の場合のT/R比は小くなる.
栽培上留意すべき諸点
1.植穴および施肥穴の深さは現在の30~40cmで充分のように考えられる.
2.排水を図ること.
3.施肥時期は乾季後期と雨季後期がよいと考えられる.
4.慣行のたこつぼ式に近い立方体の穴式より, 輪帯状溝式の方が効果が高いと考えられる.
5.施肥穴を掘らずに敷草を根幹とし, これに全面施肥を組合せる方法が効果的と考え, 目下現地で試験中である.

著者関連情報
© 日本熱帯農業学会
前の記事 次の記事
feedback
Top