熱帯農業
Online ISSN : 2185-0259
Print ISSN : 0021-5260
ISSN-L : 0021-5260
西マレーシアにおける稲籾の天日乾燥に関する研究
堀内 孝次山下 律也
著者情報
ジャーナル フリー

1974 年 18 巻 1 号 p. 4-11

詳細
抄録
1970年以来, 水稲の二期作栽培が実施されている西マレーシアのケダー州において, 稲籾の天日乾燥に関する若干の研究を同州のTelok Chengai農試で行なった.実験及び調査期間は1970~1971年で, とくに稲の生育後期が雨季 (通常, 1日のうち短時間の日射と降雨が交互にある.) に当るoff-season作後期での籾の天日乾燥について, その可否を検討した.主なる実験結果はつぎのとおりであった.
乾燥前の収穫時における籾水分含量は, 収穫前の稲体のおかれていた環境によって影響された.すなわち穂における籾の着粒部位1日の中で収穫を行なう時間, 出穂後から収穫までの日数, 倒伏の有無により影響された.
乾燥始めに20%の水分含量を有した籾を午前10時から午後3時までコンクリート上で天日乾燥した場合, 好天時では水分含量は10%まで低下した.
また同じ含水量の籾を午後1時から乾燥し始めた場合でも3時間でほぼ10まで低下した.更に, 乾燥中, 突然の降雨のため長く戸外にさらされた籾は最高40%の水分含量を示した炉, その後連続2日間の好天時における乾燥で10%程度まで含水量が低下した.
以上の結果と現地の雨季においてもかなり日射があることを考え合せれば, off-season作後期における天日による籾の乾燥は可能と考えられる.但し, 連続的な長雨が数日間続くような例外的な場合には, 籾乾燥機に頼らざるを得ないと思われる.
著者関連情報
© 日本熱帯農業学会
前の記事 次の記事
feedback
Top