熱帯農業
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Fertility of Tropical Soils and its Maintenance in Relation to crop Production with Special Reference to Grumusols in Indo-Bangladesh
M.R. ISLAM
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1976 年 19 巻 2 号 p. 99-106

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抄録

イスラム氏は専攻の熱帯土壌学の立場から, 最近漸く国際的同意に近ずいた熱帯土壌分類法によって区分された各種の主要熱帯土壌群につき, 作物生産力に関与する特性, 特にその作物栄養学的特性を比較解明検討し, それらの土壌群を熱帯性短期畑作に利用する場合に不可欠な営農操作につき陳述した.特に熱帯モンスーン地帯の各土壌群は温帯モンスーン地帯の土壌群に比べて, その天然肥沃度は必ずしも高くはなく, むしろ劣るものが多い.これは主として雨季の降雨強度と温度の高い雨水による作物栄養分の溶脱による結果と考えられる.殊に畑作の場合は, 適度の湿度と高温の条件下において有機物の分解が著しく促進されるため, 土壌腐植の減耗が甚だしい.言うまでもなく腐植は, 作物栄養分の給源として, かつまた水分や塩類の吸着剤として重要な土壌構成物質であるから, その維持増強は熱帯短期畑作の恒存を左右する重要案件なのである.
したがって熱帯土壌の本質から見て, 土壌有機物の補給増大を図るということが短期畑作の消長を左右する重要事項であって, このためには堆肥緑肥作物残滓の増産施用に対する熱帯独自の適正法の究明と実施が緊要であると述べている.

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© Japanese Society for Tropical Agriculture
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