抄録
スリランカにおけるイネノシントメタマバエは少発生であることが知られている.その小発生の実態と発生要因について調査した結果, 本虫はスリランカ全土に発生しているようであるが, 被害茎率は著しく低く2.0~4.7%程度で調査地12カ所のうちゴールの発生を認めたのは7カ所てあった.本虫の小発生の要因はa) 湿潤地帯ではココヤシ, ゴム, 茶, 潤葉樹林などにより水田が隔離されているためタマバエの移動が制限されている, b) 一年中生育期の異なったイネがあるためタマバエが年中発生し, 寄生効果が良い, c) 雄個体群の減少, d) 乾燥地帯ではタマバエの発生源である野生稲がないなどである.