熱帯農業
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メコンデルタ地域における浮稲, 1回移植稲および2回移植稲の生理生態について
III 浮稲の節間伸長能力について
井之上 準久良木 知典Vo-Tong XUAN
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1978 年 22 巻 2 号 p. 67-70

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抄録
メコンデルタ地域で栽培されている浮稲9品種のほか, タイの11品種, バングラデッシュの6品種, インドの2品種およびビルマの1品種を用いて, 深水処理と節間伸長との関係について実験を行った (於福岡) .なお, 深水処理は, 第5葉抽出時から第14葉抽出時までの各時期の稲苗を用いて, 最上葉の1葉下の葉の葉節部が水面と同じ高さになるようにした.得られた結果の概要はつぎの通りであった.
1) 深水処理によって節間伸長が起こる最も若い苗令は, バングラデッシュの浮稲では8.2葉で最も若く, ついでタイの11.4葉, ビルマとベトナムの12葉, インドの14葉の順であった.
2) 深水処理によって節間伸長が起こる苗令が若い浮稲品種ほど, 最初に伸長する節間の位置は低かった.
3) 日本の栽培稲では, 主稈葉数が少ない品種ほど最初に伸長する節間の位置は低いとされているが, ここに供試した浮稲では, 主稈葉数 (8時間日長下) と浸水処理によって最初に伸長する節間 (自然日長下, 約14時間日長) の位置との間には, このような関係はみられなかった (相関係数: 0.202) .
4) ベトナムの浮稲の浸水処理による節間伸長の能力は, ここに供試した浮稲品種の範囲内ではほぼ中位であった.
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© 1978 日本熱帯農業学会
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