熱帯農業
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アフリカ産グラベリマ深水稲の二, 三の生態的特性についての予備調査
井之上 凖箱田 寛子ウン ヤット クワット
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1989 年 33 巻 3 号 p. 158-163

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抄録

国際熱帯農業研究センター (IITA) で収集され, グラベリマの深水稲であることが確認された36品種・系統について, 節間伸長性 (浮稲性) および2, 3の生態的特性の調査を行った.節間伸長性は「長日―深水条件」下における伸長最低節間 (LEI) の位置で表すこととし, 播種から出穂までの日数, 主稈葉数, 主稈の伸長節間数および総節間長は「8時間日長―非深水条件」下において栽培した個体について調査した.得られた結果の概要はつぎの通りである.
1.伸長最低節間の位置は第8~12節間で, 平均は9.1±1.05であった.品種による変異幅はバングラデシュ産やタイ産より小さかったが, 平均値で比較すると, バングラデシュ産深水稲 (8.3±1.52, 190品種) よりは高く, タイ産深水稲 (10.8±1.91, 90品種) よりは低かった.
2. 8時間日長―非深水条件下においては, 播種から出穂までの日数, 主稈葉数, 主稈の伸長節間数および総節間長の各平均値は, バングラデシュ産やタイ産の深水稲の各平均値より小さかった.
3.アジアイネについて武田・高橋 (1972) が見いだした「主稈葉数と伸長節間数の関係」からみれば, 本実験で用いたグラベリマの深水稲品種は, アジアイネの節間伸長性の小さい深水稲品種や非深水稲品種に似た生態的特性を示した.

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© 日本熱帯農業学会
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