熱帯農業
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ハゲイトウ, ヨモギ, ナス, およびシンの耐塩性
下瀬 昇関谷 次郎木村 修鈴木 泉
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1991 年 35 巻 1 号 p. 16-19

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抄録

植物の耐塩性について比較生理学的に研究を行っているが, 今回はハゲイトウ, ヨモギ, ナス, およびシソを用いて, その生育と無機成分の変動について検討した.これらの植物を対照区, および20, 40, 60meq/lのNaCl (Cl区) あるいはNa2SO4 (S区) を添加した培養液で生育させたところ, 耐塩性に違いが現れた.すなわち, ハゲイトウは中 (S区) ~強 (Cl区) , ヨモギはハゲイトウより弱かったが中 (S区) ~強 (Cl区) , ナスが中 (S, Cl区) , シソは弱 (S, Cl区) であった.それらの植物の無機成分の吸収状態はまずNaの吸収から分類すると, ハゲイトウが60meq/lで乾物重当たり約4%のNaを含み, かなり強い吸収状態を示した.ヨモギはCl区, S区ともに約1%で, 吸収はかなり抑制されていた.ナスは約2.5%で中間であった.シソは強い生育抑制とともに葉に障害が現れ, Naの吸収は約1%であった.これら4種の植物は, いずれも処理塩濃度の上昇に伴いK, Ca, Mgの吸収の阻害が起こっていた.Naの吸収の上昇に伴ってKの吸収が抑制されるが, 乾物重当たりのNa含量が1%増加するのに伴うK含量の低下を求めたところ, 今回用いた4種の植物ではその値が小さいものは耐塩性が強いことがわかった.

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© 日本熱帯農業学会
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