抄録
ミャンマー産の水稲27品種・系統および陸稲28品種・系統を供試して, 節間伸長性および短日条件下における生態的特性を調査するとともに, 酸性フォスファターゼならびにエステラーゼ同位酵素の分析を行った.その結果, 供試した稲の約69%の品種・系統では伸長最低節間 (LEI) の位置が同国産の浮稲品種における変異の範囲内にあり, かつ, 基本栄養生長性および感光性が同国産の浮稲と同程度である品種・系統が含まれていた.そこで, ミャンマー産稲3品種 (LEI: 12) と比較のためにバングラデシュ産浮稲1品種 (LEI: 10) を福岡の夏の自然日長条件下で深水栽培したところ, 実験終了時におけるミャンマー産稲の草丈および総節間長はバングラデシュ産浮稲より短かったが, 主稈葉数および伸長節間数は同程度で, 浮稲の特徴の1つとされている水中根の発生が認められた.また, 酸性フォスファターゼおよびエステラーゼ同位酵素遺伝子型が共にインド型稲と同じ品種・系統が約29%, 日本型稲と同じ品種・系統が約2%あったが, 遺伝子型とLEIの位置との間には明瞭な関係は認あられなかった.本実験から, ミャンマー産の水稲および陸稲の中には, 同国産の浮稲と同じ程度の浮稲性を持つ品種が存在することが示唆され, ミャンマーでは浮稲から転用された水稲や陸稲品種が栽培されているのではないかと考えられた.