熱帯農業
Online ISSN : 2185-0259
Print ISSN : 0021-5260
ISSN-L : 0021-5260
ハウスブンタン幼樹の生殖成長に及ぼす樹幹括約時期の影響
山西 オズワルド潔中島 芳和長谷川 耕二郎
著者情報
ジャーナル フリー

1994 年 38 巻 4 号 p. 269-280

詳細
抄録

ハウス内で栽植の2年生トサブンタンを供試し, 1990年8月から11月まで1か月毎に, 接ぎ木部上位15cmの樹幹に直径1.6mmの針金で約30Kgf.cm強度の括約を行い, それぞれ2か月後に針金を外した.処理部上位では冬季期間中に落葉が激しく無葉花らいが多く着生したが, 3月上旬にこれらの花らいを全て摘除し, 更に落葉した結果母枝をせん定した.処理部上位では第2次の有葉花らいが着生した.花らい数と結実数は処理部上位で下位よりも多かった. 5月中旬における針金除去後に生じた凹みの回復程度は8月処理を除いて全処理区で高かった. 9月中旬の処理部上位の葉数と葉面積は処理時期が遅くなるにつれて増加したが, 両値とも無処理区で高かった. 9月中旬の光合成速度は無処理区で最低であったが, 11月下旬の速度は11月処理を除いて逆に最高であった.8月下旬の葉内の全糖と炭水化物含量は処理時期が早くなるにつれて増加し, N含量は処理時期が早くなると逆に低くなった. そのためC/N値は処理時期が早くなると大きくなった.果皮の着色は処理によって促進されたが, 果汁の全可溶性固形物および酸含量は処理間にほとんど有意差を示さなかった. 2年目の花房数と花らい数は処理樹が無処理より高かったが, 結果率は影響されなかった.1年目の収量は括約樹で低かったが, 2年目には高く, 両年の収量を加えると8月処理を除いて括約樹が無括約樹より19-25%高かった.

著者関連情報
© 日本熱帯農業学会
次の記事
feedback
Top