抄録
緑熟‘Cavendish’バナナ果実を5, 13, 20℃で貯蔵し, 貯蔵中の低温障害発生と数種フリーラジカル消去酵素の活性変化との関係を明らかにしようとした.併せて果皮のクロロフィル蛍光の変化も調査した.その結果, 20及び13℃貯蔵果実は正常な追熱過程を経て, 2及び3週間後に呼吸やエチレン生成量の上昇, 果皮色, 硬度及びクロロフィル蛍光の減少が認められた.一方, 5℃貯蔵果実は低温下ではわずかの呼吸, エチレン生成しか示さないが, 貯蔵2週目に20℃に移すと呼吸, エチレン生成とも急激な上昇をみせ, 低温障害の発生も観察された.この時, Fv/Fm値は, 13, 20℃貯蔵果実の値より低位で, フリーラジカル消去関連酵素のSOD (superoxide dismutase) , カタラーゼ, パーオキシダーゼ活性は, 5℃貯蔵後に20℃に移した果実では13, 200C貯蔵果実より高く, 低温障害発生との関連が指摘できた.クロロフィル蛍光の減衰は, 低温障害発生予測のための非破壊測定に利用できると思われる.