熱帯農業
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インドネシア産ダイズの根粒から分離された耐酸性根粒菌の特徴と有効性
Muchdar SOEDARJONasir SALEHTitis ADISARWANTODarman MODARAchmad Ghozi MANSHURI伊敷 弘俊
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2003 年 47 巻 4 号 p. 233-242

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抄録

アルミニウム含量の高い酸性土壌条件におけるダイズの比較的低い生産性は養分欠乏とアルミニウム毒性に関係している.そのような土壌での窒素欠乏は, 貧弱な植物体の生長や低収量の原因になる.窒素肥料の有効性を改善するためには, 無機窒素肥料や根粒菌を利用することができる.本研究では, インドネシア産ダイズの根粒から根粒菌を分離し, 根粒菌の特徴を調査し, 根粒菌の感染性と有効性を評価した.ダイズ根粒をマイクロチューブ内で擦り潰し, 根粒菌をYEM培地に画線培養し分離した.分離した根粒菌株にはRILETSOY (Research Institute for Legume and Tuber Crops, Soybean) 番号を付けた. pHを3.0, 3.5, 4.0, 4.5および6.0に調整したYEMブロスで根粒菌株を培養し, 異なる酸性条件下で根粒菌株の増殖を調査した.また, pHを4.0に固定しアルミニウム濃度を0, 50, 100, 200, 300および400μMに調整したYEMブロスで根粒菌株を培養し, 異なるアルミニウム濃度条件下で根粒菌株の増殖を調査した.さらに, 根粒菌株の感染性と有効性を検定するために, pHが6.5付近の滅菌砂で栽培しているダイズにそれぞれの根粒菌株を接種した.ダイズ根粒から根粒菌45菌株を分離した.全ての根粒菌株は増殖が緩慢なBradyrhizobiumであった.ほとんどの根粒菌株はpHが3.0から3.5のYEMブロスでは増殖しなかったが, pHが4.0のYEMブロスでは60%の根粒菌株が増殖した.根粒菌株はpHが4.5から6.0のYEMブロスで増殖した.培地のpHは4日間培養しても有意に変化していなかった.アルミニウム濃度を200μMにしpHを4.0にしたYEMブロスで根粒菌株を増殖すると, 様々な増殖反応が観察された.根粒菌株を接種した全てのダイズの根に根粒が形成された.しかし, 根粒菌株による根粒形成はダイズ植物体の生長増加を伴わない場合もあった.よって, 分離した根粒菌株の有効性には様々な程度のものがあると考えられる.

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