熱帯農業
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マレーシア, サラワク州におけるサゴヤシの生育・デンプン収量―土壌の種類による差異―
山本 由徳吉田 徹志後藤 雄佐新田 洋司角田 憲一Foh Shoon JONGLaiberi Biut HILARYAbdul Halim HASSAN
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2003 年 47 巻 4 号 p. 250-259

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抄録

サラワク州のムカとダラトにおいて, 生育土壌の種類 (深い泥炭質土壌; DPS, 浅い泥炭質土壌; SPS, 鉱質土壌; MS) を異にするサゴヤシの幹立ち後から収穫期に至る生育経過とデンプン蓄積経過を明らかにして, 土壌の種類によるデンプン生産性の差異について検討した.DPSに生育するサゴヤシは, MSやSPSに生育するサゴヤシに比べて, 収穫まで年数が長かったが, 出葉速度, 樹幹伸長速度, 樹幹重および容積の増加速度などの生長速度は遅く, 収穫適期における樹幹重と容積はMSやSPSに生育するサゴヤシに比べて劣った.一方, 髄部のデンプン蓄積経過には土壌の種類による差は認めらなかった.髄部の澱粉蓄積は, 幹立ち後MSとSPSでは3年目以降, DPSでは4年目以降に急増を開始したが, その時の樹幹長, 樹幹重は土壌の種類に関わりなく, それぞれ3mと250~300kgであった.収穫適期における樹幹当たりのデンプン収量は, 土壌の種類による差は小さく, 平均で160~180kg (乾燥デンプン) であったが, これにはDPSのサゴヤシ園の開園後年数が若く, そこに生育するサゴヤシの髄部デンプン含有率がMSやSPSに生育するものに比べてやや高かったことが密接に関係していると考えられた.

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