抄録
Buchu (Barosma betulina (Berg.) Bartl.& Wendl.) はShort BuchuまたはGood Buchuとも呼ばれ, 樹高7~9dmに達する耐旱性の強い灌木で南阿の南西部に小面積野生しておる.学名の“barosma”はギリシャ語で“強い臭い”, “ betulina”はラテン語で“樺に似た”という意味で, 葉の形は樺の葉に似ており, 強い臭いがある.南阿のCape ProvinceのClanwilliam地方で1927年, SMIT氏が附近に野生するBuchuを栽培化したのが始まりで, 同氏は現在約4 1/4エーカーを作付しており, 附近の農民もこれにならつて栽培を始めるようになつた.葉を乾燥したものをBuchu drugと呼び, 南阿では古くから野生Buchuの葉を煎じ薬として種々の病気の治療のための発汗剤など広く家庭薬として使われてきた, また葉に含まれる揮発性油の成分のDiospenolまたはBarosma camphorは利尿剤としての効果が認められておる.しかし現在での主なる用途は健胃剤およびブランデーの着色剤としてであるが, 医薬品としての将来性は必ずしも明るいものではないようである, なお印度産のIndian Buchu (Myrtus communis L.) はこれとは全く別の植物である. (菅六郎)