市販の心電図自動診断装置を用い,イヌの心電図を記録してみたところ,次のような結果を得た。
1)自動診断結果と実際の診断とはほとんど一致しなかった。これは胸部電極をヒトのそれと類似する位置・波形に修正して行っても同様であった。
2)診断結果の再現性はあまりよくなかった。
3)自動測定の心拍数は,実測心拍数約180までは信用できる測定値であったが,それ以上になると大きく誤差が出た。
4)電位の自動測定値は,振幅の小さいものほど誤差が大きく,基線の動揺もかなり影響したが,振幅の大きいR及びT波は測定可能であった。
5)時間の自動測定値は,ほとんど不正確であり,実測値より大きくなる傾向があった。
6)心電図自動診断の動物への導入には,プログラムの変更のみならず,まだ種々の改良を必要とすると判定された。