家畜の心電図
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ウシの心音図に関する研究
I 健康牛の心音図
鷲巣 誠内野 富弥中村 良一
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1973 年 6 巻 6 号 p. 17-26

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抄録
著者らは,ウシの心音図の臨床応用への基礎として,ホルスタイン種の子牛15例および成牛5例を用いて心音図を記録し,各棘波の測定値を求めた。
心音図は,聴診によって確認できる胸壁面の5部位,すなわち心尖,肺動脈弁,大動脈弁,僧帽弁および三尖弁の各部位から記録した。
心音図の記録には,直記式心音計に内臓されている50Hz以上の周波数を遮断するLと50~80Hzの周波数を記録するM1の低音域フィルターを使用した。
記録した心音図について,波形,S1・S2持続時間,Q-S1・Q-S2時間,振幅比(S2/S1)およびS1・S2周波数について分析・測定を行なった。
(1)心音図記録時の心拍数は,子牛では平均77±14.6,成牛では平均60±4.1であった。
(2)波形,S2持続時間,Q-S1時間およびS1・S2周波数は,子牛と成牛ではおおむね同様の結果を示した。
(3)S1持続時間およびQ-S2時間は,成牛では子牛に比べて延長していた。
(4)振幅比は,子牛および成牛とも記録部位およびフィルターによって区々であった。
(5)LとM1フィルターによる心音図の測定値を比較すると,S1およびS2持続時間は,L<M1,Q-S1時間はL=M1,Q-S2時間およびS1・S2周波数はL<M1であった。
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© 日本獣医循環器学会
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