家畜の心電図
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運動時のウマの心電図観察のための磁気記録方式心電計の試作について
天田 明男
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1974 年 7 巻 7 号 p. 28-34

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抄録

運動時のウマの心電図を検査する場合, 従来の医用テレメーターでは発振電波の到達距離に限度があるため, 運動の全過程の心電図観察に困難を伴う。 そこで,被検馬がいかなる遠隔地にあってもその心電図観察を可能ならしめるために磁気記録方式心電計を試作した。
本装置は, 試作心電計, テープレコーダーおよび再生器からなる。心電図信号は音声 (3kHz) に変換されてからテープレコーダーに録音される。録音された心電図は再生器によって心電図信号に復調された後に, 市販の心電計によって記録紙に描記されうる。この装置によりウマの運動中の心電図を記録したところ, ある程度の雑音混入と心電図の歪みがみられたが, 少くとも心拍数の計測および心室性不整脈の分析には十分使用できることがわかった。これら雑音混入ならびに歪みの原因について若干の考察を行なった。
本装置を競走馬の運動負荷心電図検査に応用していたところ, 安静時の心電図には異常がなかったが, 運動時の心電図に short run 型の心室粗動を認めた1例に遭遇した。

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