水質汚濁研究
Print ISSN : 0387-2025
底質からのリンの溶出におけるFe (II) とリン酸イオンの挙動
小林 節子西村 肇
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1988 年 11 巻 12 号 p. 755-764,753

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抄録

好気下における底泥からのリンの溶出機構を鉄の錯形成との関連から明らかにする目的で, ここではFe (II) -リン酸塩が嫌気的底泥から好気的上層水中へ溶出した場合を模擬するため, 金属錯化容量をもつ酵母エキスを添加したバクテリア発生溶液内での鉄およびリンの挙動をAir通気条件下で検討した。
酵母エキス溶液に添加したFe (II) は, Fe (III) に酸化され, 一部はFe (OH) 3として沈殿したが, 残りは酵母エキス溶液中の溶存有機物とFe (III) 錯体を形成して長期間溶存した。また, このFe (III) 錯体はAirを遮断した条件下では, 再びFe (II) に還元された。蒸留水中に添加したFe (II) は, 大部分はFe (OH) 3として沈殿したが, 一部はFe (II) の状態で数日間溶存した。
Fe (II) と同時に添加したPO4-Pは, 沈殿生成したFe (OH) 31モルに対しPO4-P 0.41~0.46モル吸着する関係式が得られ, この量だけPO4-Pの溶存濃度が減少した。

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© 社団法人日本水環境学会
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