水質汚濁研究
Print ISSN : 0387-2025
生物活性炭処理による有機性汚染物質の除去
黒沢 義乗真柄 泰基武藤 暢夫
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1988 年 11 巻 9 号 p. 590-598,560

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抄録
前報では生物活性炭処理法による懸濁物質やアンモニア性窒素等, 無機性汚染物質の除去効果について従来から用いられている砂濾過方法と対応づけながら検討した。その結果, 濾過砂にして活性炭は懸濁物質やアンモニア性窒素等に対して優れた除去機能を有しており, 濾過材として用い得ることが明らかとなった。
そこで, 本論文では生物活性炭による各種有機性汚染物質の除去機能について, 前報と同様に砂濾過処理方式と対応づけながら検討した。
その結果, 1.TOC, 過マンガン酸カリウム消費量, 蛍光強度発現物質のいずれについても, 濾過材では濾過砂よりも活性炭, 濾過速度では遅い系の方が除去効果が優れている。2.生菌数, 呼吸活性からみた細菌の現存量は生物濾過砂, 生物活性炭ともにほぼ同等である。3.細菌の抑止態からみると活性炭よりも濾過砂の方が優れており, また, 活性炭では系内で異種の細菌が増殖し, それらが濾過水中にリークしてくる。4.活性炭の破過定常後においてもTHMFP, TOXFPの除去に関して, 活性炭は濾過砂よりも優れている。
これらの要因として生物が著しく寄与しているものと推察される。すなわち, (1) 活性炭と濾過砂では付着している生物叢が異なる, (2) 活性炭に付着した生物が物理的な吸着座の再生に寄与している, 等々である。
前報および本論文の結果から, 生物活性炭処理法は有機性汚染を受けた水道原水の浄水方法として有効である。
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© 社団法人日本水環境学会
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