抄録
加圧式生物膜排水処理装置の開発のために, 小型実験装置を用い種々の食堂排水での処理性能について調べた。まず, 加圧条件下における酸素移動能力について検討したところ常圧条件に比べて加圧方式が優れていることが分かった。また循環水量の影響については, 飽和酸素不足度の大きい水と絶えず接触が行われるほど, 酸素移動能力に優れている。さらに, 気液分散槽内に設けた攪拌羽根は, 酸素移動により有効である。加圧式生物膜排水処理装置による食堂排水の処理性能を評価し, TOD値を測定して管理した。その結果, BOD容積負荷4.6kgBOD・m-3・d-1で処理した場合, BOD除去率88%と優れた生物処理能力を示した。処理水BODとBOD除去量との関係はY=0.025X +0.62, r=0.87であった。担体に付着した MLSS, MLVSS 量についてみるとBOD容積負荷の低い場合には小さな値であるが負荷を大きくするに従って増加の傾向にあり, 担体当りで換算したMLSS量は6,100mg・l-1 (担体) であった。また処理水のBOD値で30mg・l-1とした場合のBOD負荷量は1.7kg・m-3・d-1の処理能力をもっていることが明らかになった。