水質汚濁研究
Print ISSN : 0387-2025
誘導結合プラズマ発光分析法による工場排水中重金属の逐次定量
中村 智橋本 浩一北村 秀樹服部 幸和中本雅雄
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1989 年 12 巻 9 号 p. 589-595,566

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抄録

誘導結合プラズマ発光分析法による工場排水中の重金属 (亜鉛, 鉛, カドミウム, ニッケル, マンガン, 鉄, クロム, 銅) 定量のための基礎的検討を行った。試料中の酸, 塩濃度の増加により物理干渉がみられた。亜鉛定量の際, Zn I 213.856nm線を用いると, 銅, ニッケル, 鉄の多量の共存によりみかけの亜鉛濃度の上昇が生じた (分光干渉) 。物理干渉, 分光干渉の抑制には, マトリックスマッチング法, 干渉補正係数を用いる定量などが有効である。検量線の直線範囲は4~5桁に及んだ。定量下限値は, 環境基準の値を下回っており, 環境水の分析に十分対応し得る。実試料を硝酸, 硝酸-塩酸, 硝酸-過塩素酸で前処理し, 本法で測定を行った結果, ほぼ同じ値が得られた。また, 原子吸光法と比較定量した結果, 両者の値は良好な一致を示した。高感度迅速定量が可能である点で, 本法は原子吸光法よりもルーチン分析に適した方法であるといえる。

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© 社団法人日本水環境学会
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