水質汚濁研究
Print ISSN : 0387-2025
湖沼水質の簡易な予測モデル
2.湖水栄養塩濃度と内部生産COD, クロロフィルaとの関係
福島 武彦天野 耕二村岡 浩爾
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1986 年 9 巻 12 号 p. 775-785,773

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抄録

簡易な水質予測モデルの作成を目的として, 湖沼におけるCOD, クロロフィルa, 栄養塩相互の関係を全国数十湖沼のデータをもとに調べた。まず, クロロフィルaとCODとの回帰式の切片が各湖沼の年間COD最小値とよく一致することから, CODの年間最小値を外来性CODと考え, それを超える分は内部生産から生じたCODと考えた。特に, CODの年平均値と最小値との差をΔCODと呼び, 内部生産CODの指標とした。次に, 各湖沼でのクロロフィルaとCODとの回帰式の傾き等から, 栄養度の広い範囲ではクロロフィルaとCODとの関係が非線形であることがわかった。最後に, 制限栄養塩濃度とΔCOD, あるいはクロロフィルaとの関係には滞留時間の影響が認められたので, ΔCOD, クロロフィルaの予測式にこの効果を考慮した。ΔCODの予測式の場合, 酸性湖, 汽水湖, 下流湖沼等の特殊な湖沼を除くと, 61湖沼中57湖沼で予測値は実測値の1/1.5~1.5倍の範囲に入った。

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© 社団法人日本水環境学会
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