抄録
飛灰からクロロベンゼン類やPCBsなどの有機塩素化合物を抽出するために, マイクロウェーブ抽出法の適用を検討した。まず, 抽出条件の最適化実験を行い, 抽出温度120℃, 抽出時間50分で高い抽出効果が得られた。次に, 8種のごみ焼却飛灰に対して適用した。従来のソックスレー抽出と比べて約80%程度, 超臨界流体抽出とは同等, もしくはそれ以上の抽出量を得ることができた。再現性についても, ソックスレー抽出および超臨界流体抽出と同程度であった。また, 抽出量と飛灰中の未燃炭素量との関係から, クロロベンゼン類については未燃炭素含有量との間に高い線形の相関関係があることがわかった。未燃炭素量が増えるとソックスレー抽出に比べてマイクロウェーブ抽出は抽出率がやや減少する傾向にあったが, マイクロウェーブ抽出は抽出時間を短縮でき, 使用する溶媒量も少なくできることから飛灰中のクロロベンゼン類, PCBsの抽出に十分適用できると考えられた。