抄録
京都府内の八木バイオエコロジーセンターにおいて, 畜産ふん尿や食品残渣を対象に, 中温発酵 (37℃) と高温発酵 (55℃) を並列運転している。本施設の約1.5年間の運転実績から, 両発酵方式の性能に関して比較検討を行った。その結果, (1) 有機物負荷が2.0kg/m3/日前後の負荷では, 有機物の除去率はほぼ同等であり, (2) 大腸菌群数や糞便性大腸菌数は, 高温発酵が中温発酵に比べて除去効果が格段に高いこと, ならびに (3) バイオガスの単位発生量は, 高温発酵が若干高かったことが明らかとなった。また, バイオガスの成分は, 中温と高温の間に差がみられなかった。これらの結果より, ガス発生量, 有機物除去については大きな差がみられなかったものの, メタン発酵の消化液を液肥として利用する場合は, 衛生面から消毒効果の高い高温発酵が望ましいことが示された。