地域に受け入れられる最終処分場を建設するためには, 構造面での安全性と信頼性が重要である。しかし, 最終処分場は様々な土木分野の技術を集約した構造物であるため, システム的に構造物を設計・施工する技術は未熟であり, 技術的なトラブルが多発している。したがって, 従来, 表面化することが少なく活かされることがなかった, 過去のトラブル事例を解析し, トラブルを未然に防ぐための対策の構築が不可欠と考えられる。
本研究では, 著者らが実際にトラブルに関して携わった43箇所の最終処分場での48種類のトラブル事例を対象に, その原因と実施された対策を解析した。そして, トラブル回避のための対策案を検討し, その対策効果の評価について, 最終処分場建設に携わった経験のある実務者にアンケート調査した。その結果, トラブルは施工中や供用中で発見される場合が多いが, その原因は複数で多岐にわたるものの, 主に設計と施工の段階にあることがわかった。そのためトラブルを回避するには, マニュアルの整備や資格制度の導入等の対策が効果的であることが示唆された。さらに, 立地条件に応じた設計だけではなく, 施工管理の徹底や設計時に予期されなかった事態への柔軟な対応が, トラブルを回避する上で重要であることも示唆された。