抄録
コンポストの原料として, 市販のドッグフードを用い微生物の種類と濃度の異なる6種類の種菌を接種してコンポスト化を行った。添加した種菌の種類の違いがコンポスト化速度に与える影響を評価するために, コンポスト化速度を炭酸ガス発生速度として定量化し, 反応進行に伴う炭素変化率, 微生物相, およびpHの変化を測定した。種菌の種類の違いはこれらの測定値の差として顕著に現れた。種菌は2つのグループに大別でき, そのうちの1つのグループの種菌を用いたときには, コンポスト化物のpHが初期値7から5付近にまで低下しコンポスト化が中断したが, もう1つのグループの種菌を用いたときには, pHは低下せず実験期間中活発な炭酸ガスの発生がみられ, コンポスト化が良好に進行した。また, コンポスト化初期にpHが低下して有機物分解が中断する種菌でも, 原料pHを高く調整し, 初期のpH低下が微生物の有機物分解活性を阻害しないようにすれば, コンポスト化を持続させることができた。各種菌の微生物相の検討から, コンポスト化速度には種菌中の微生物全体の濃度よりも, 微生物の種類が大きく影響することが明らかとなった。