抄録
正常ラット肝由来培養細胞RLC-24およびラット腹水肝癌由来培養細胞AH-601を用いて、デキサメサゾン長期添加によっておこる細胞の形態変化、染色体変化、抗癌剤に対する感受性変化を検討した。
細胞増殖阻害に影響を与えないデキサメサゾン濃度4μg/mlを8ケ月間添加培養したところ、5ケ月以降にAH-601において細胞の形態変化が認められた。染色体変化においてはRLC-24、AH-601ともデキサメサゾン長期添加群はコントロール群(非添加群)に比べて染色体数が少なくなる傾向がみられた。デキサメサゾン濃度4μg/ml長期添加によるシスプラチンに対する感受性では、RLC-24はシスプラチン濃度5μg/mlでデキサメサゾン群、コントロール群とも軽度増殖阻害を認めたが両群間に差はみられなかった。AH-601では同濃度において、RLC-24より増殖阻害の程度が強くみられ、デキサメサゾン群はコントロール群に比べシスプラチンによる増殖阻害率は軽度であった。またAH-601でのデキサメサゾン群、コントロール群の造腫瘍性の組織学的検討では悪性度に変化は認められなかった。