抄録
肝臓は生体のビタミンAの50-80%を蓄えているが、そのほとんどは第3の肝類洞壁細胞である伊東細胞にエステル型のビタミンAとして蓄えられている。伊東細胞におけるビタミンA貯留機構はいまだに明確にされたとはいえないが、現状では二つの説が有力である。一つは血清中をレチノール結合蛋白(RBP)と共に運ばれるレチノールがRBPレセプターを介して伊東細胞に特異的に取り込まれるとする説である。一方、著者らの培養伊東細胞を用いた研究からは、レチノールはRBPの関与無しに細胞内に取り込まれ、微細形態学的には細胞内のビタミンA代謝にはmultivesicullar bodyとIamellar bodyが重要と考えられた。さらに最近の生化学的知見とあわせると、伊東細胞におけるビタミンAエステル化酵素が伊東細胞のビタミンA貯留の特異性を担っていると考えられた。