1997 年 16 巻 4 号 p. 181-187
SV40(Simian virus40)はポリオワクチンを産生していたアカゲザル腎臓細胞に感染しているヴイルスとして発見された。そしてこのウイルスは八ムスターなどの動物の腫瘍を発生させることが見出されたので、ヒトにおいても癌ウイルスとして働くことが懸念されていた。その後の研究で、ヒト細胞の不死化に密接に関係していることがわかってきたが、ヒトの癌発生との関係はよくわからず否定的であった。最近、ヒト癌でSV40の遺伝子が検出され、ヒトの癌化との関係が示唆されるようになってきた。今回ヒト癌におけるSV40の関与について現状を紹介する。