抄録
我々が日常飲む水道水やペットボトル水が安全であるかどうかを調べることは、我々の健康を考える上で重要なことである。しかし、水の有害性を人体実験で検討することは不可能なので、その代替として。ヒトの培養細胞を用いて水が有害かどうかを検討した。実験は、水道水とペットボトル水に溶かしたイーグル最少基礎培地に非必須アミノ酸と10%胎児牛血清を添加して作成した培地で、2系の樹立化されたヒト肝細胞(OUMS-29,HLE株)と1系のヒト正常線維芽細胞(OUMS-36株)のコロニー形成率を調べた。もし水に毒性があれば、細胞のコロニー形成率が低下する筈である。実験の結果、コントロールとしたイオン交換水培地でのコロニー形成率を100%とすると、水道水やペットボトル水培地でのコロニー形成率は、60-90%を示した。また、水道水がペットボトル水にくらべ細胞に特に毒性が高いということはなかった。今回の実験結果から、水道水でも培養ができる細胞があり、また、従来、細胞の培養がうまく行かないとき、水に原因があるとよく言われたことは、必ずしも当てはまらないと、我々は結論した。今回の実験では、水の人体に対する直接的な影響は分からないが、我々の使用した今回の実験方法は、水のヒト細胞に対する毒性の有無の検定に使用できる可能性を示している。