抄録
本論文では、国立国語研究所と富士通研究所が現在行っている、今まで取り扱うことが難しかった、現実のビジネス文書を取り扱った研究を紹介する。そのうえで、これまでの取り組みを発展させた、より緻密な分析を行い、その結果を検証することで、新たなビジネス日本語研究とその貢献の可能性を検討する。具体的には、まず、クラウドソーシングの発注文書を収集し、最新のAI技術であるWide LearningTMを用いて分析を行った。その結果から得られた興味深い事例をいくつか取りあげ、直観や内省で発見することが難しい、新たな知識が発見できる手続きを提示した。そして、本研究のような分析手法が、今後のビジネス日本語研究にたいして新たな知見を提供できる可能性を示唆した。