The Journal of Toxicological Sciences
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免疫抑制剤 HE-69 (mizoribine, Bredinin(R))のイヌ経口3年投与試験 (第一報) : 血液臨床検査値, 血中濃度およびオス生殖能について
内田 久則真崎 義彦平 美也子丸山 茂善安田 修一
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1985 年 10 巻 1 号 p. 35-49

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抄録

mizoribine の長期慢性毒性試験の目的で, 生後6ヵ月のビーグル犬, オス・メス2頭ずつ計4頭に対し, 2.5 mg/kg/day の mizoribine を週6日投与し1日休薬する方法で, 36ヵ月間連続投与した。対照群として無処置ビーグル犬, オス・メス2頭ずつ計4頭を同じ条件で飼育し, 比較を行った。(1) 一般状態, 体重増加率に差はなかった。(2) 血液学検査について, 白血球数, 白血球分画, 赤血球数, hemoglobin, hematocrit 値など両群に差はみられなかった。(3) 血清生化学検査について, S-GPT, alkaline phosphatase, choline esterase, total protein, BUN, creatinine, glucose, total cholesterol, Na, K, Ca 値など, 両群に差はみられなかった。(4) 毒性試験開始 6, 12, 18, 24, 36ヵ月で10 mg/kg の mizoribine 負荷による血中濃度の推移につき測定を行ったが, 両群とも差がなく, いずれも投与後24時間で測定限界以下になった。(5) 試験開始後14ヵ月と36ヵ月で, オスイヌにつき精液中の精子数を調べたところ, mizoribine 投与群の1頭で, 精液採取が困難だったことにより, 精子数が少ない結果であったが, 他では両群に差がなく, また, 健康なメスとの交配能テストでは, いずれも交配力が温存されていた。以上, ビーグル犬において, とくにみるべき副作用もなく, mizoribine 2.5 mg/kg が36ヵ月間安全に連続投与できた。

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© 日本トキシコロジー学会
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