The Journal of Toxicological Sciences
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Trandolapril (RU44570)の抗原性試験
有賀 文彦山田 恭史岩崎 栄本郷 善昭加藤 正巳和田 浩石原 浪砂
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1993 年 18 巻 SupplementI 号 p. 161-175

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抄録

RU44570の抗原性を, モルモットの能動的全身性アナフィラキシー(ASA)反応, 感作モルモット血清によるモルモット受身皮膚アナフィラキシー(PCA)反応, 感作モルモット摘出肺からの遊離mediator検出試験, 感作モルモット摘出回腸のSchultz-Dale反応, 感作マウス血清によるラットPCA反応およびモルモットの遅延型皮膚反応(Maximization test)により検討した。即時型反応試験に用いるモルモットは, RU44570(p.o.), RU44570とFCAのemulsion (s.c.)またはRU44570と無処置モルモット血清のincubate液とFCAのemulsion(s.c.)で感作し, マウスはRU44570とAlumの混液(i.p.)で感作した。また, 遅延型皮膚反応に用いるモルモットは, RU44570の皮内投与および貼付投与により感作した。1. モルモットASA反応: いずれの感作動物にもアナフィラキシー症状は認められなかった。2. モルモットPCA反応: いずれの感作血清もPCA価は<1であった。3. 遊離mediator検出試験: いずれの摘出肺からも遊離mediatorは検出されなかった。4. Schultz-Dale反応: いずれの摘出回腸も収縮しなかった。5. ラットPCA反応: BALB/c系マウスおよびC3H/He系マウスのいずれの感作血清もPCA価は<5であった。6. モルモットの遅延型皮膚反応: いずれの感作動物にも皮膚反応は認められなかった。以上の結果から, 当試験の条件下において, RU44570に抗原性はないものと考えられた。

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© 日本トキシコロジー学会
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