1995 年 20 巻 SupplementII 号 p. 277-296
Montirelinの0, 0.02, 1および50 mg/kgをSlc :SD系ラットの胎児器官形成期に静脈内投与し, 母動物, 胎児および出生児に及ぼす影響について検討し, 以下の成績を得た。1. 母動物では, 1 mg/kg以上の投与群で妊娠期に摂水量の増加が, 50 mg/kg投与群で一過性の振戦, 妊娠中期に摂餌量の増加が認められた。母動物の剖検では, 1 mg/kg以上の投与群で胸腺重量の減少および副腎重量の増加が, 50 mg/kg投与群で顎下腺重量の増加が認められた。2. 妊娠末期母動物の妊娠黄体数, 着床数および着床率ならびに自然分娩させた母動物の妊娠期間, 分娩状態, 出産率, 着床痕数および哺育状態には, montirelin投与による影響は認められなかった。3. 妊娠末期胎児検査では, 胚・胎児死亡数, 生存胎児数, 生存胎児体重, 性比, 外表, 内臓および骨格に, montirelin投与による影響は認められなかった。4. 出生児では, 一般状態, 発育生存能, 体重推移, 分化状態, 機能発達, 運動協調性, 情動性, 学習能, 受胎能および剖検にmontirelin投与による影響は認められなかった。以上の結果から, 本試験条件下における無毒性量は, 母動物に対する一般毒性学的影響に関しては0.02mg/kg, 母動物の生殖に及ぼす影響および次世代の発生に関しては50 mg/kgであると考えられる。(試験期間 : 1986年2月1日~1986年11月29日)