The Journal of Toxicological Sciences
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タルチレリン水和物の生殖毒性試験 (第3報) : ウサギを用いた経口投与による胎児の器官形成期投与試験
新比惠 啓志西田 敦之今戸 奈保子浅野 裕三
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1997 年 22 巻 SupplementII 号 p. 395-403

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抄録

脊髄小脳変性症の治療薬として開発されたタルチレリン水和物の 0.15, 15 および 15mg/kgをウサギの胎児器官形成期に相当する妊娠6日から18日までの13日間, 連日経口投与し, 母動物ならびに次世代の発生に及ほす影響を検討した。すなわち, リン酸ニナトリウム, クエン酸および塩化ナトリウムを含有する水溶液を媒体とした投与液を, 妊娠6日の体重1kg当り5mlの投与液量で経口投与した。なお, 対照群のウサギには媒体のみを同様の方法で投与した。すべての母動物は妊娠29日に剖検し, 子宮を切開して胎児を摘出した。摘出した胎児は外表, 内臓および骨格検査を行った。母動物に及ぼす影響 母動物には被験物質投与による死亡はみられず, 摂餌量にも影響は認められなかったが, 15mg/kg群に体重増加量の一過性の減少が認められた。また, 同群において, 呼吸促進のような中枢興奮様の症状が明らかに認められた。生殖機能にはいずれの群でも被験物質投与による影響を認めなかった。胎児に及ぼす影響 胎児には, 披験物質投与による致死作用, 催奇形作用および発育抑制作用を認めなかった。以上の結果から, 本試験条件下における無毒性量は, 母動物に対する一般毒性学的影響に関しては1.5mg/kg, 次世代の発生に関してはそれぞれ15mg/kgであると考えられた。

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© 日本トキシコロジー学会
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