2005 年 31 巻 p. 335-345
近代における建設会社設計部技術者という観点から大友弘の業績を考察した。大友による建築は24件確認され,図面等を確認すると設計はチームとして行われ,デザインは幅広く時々の流行を取り入れながら巧みに行われた。大友の仕事は関東大震災前では煉瓦造が多く,用途は銀行,倉庫等が多かった。しかし,震災以後は多くが木造で,用途は住宅に限られた。つまり,組織として設計を行った大友が晩年はその技量の故,木造住宅建築に当たったと概観でき,近代における建設会社設計部技術者の一典型をここに見い出すことができる。