獣医麻酔
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実験用動物における笑気酸素混合ガス「アネソキシン-50」吸入の影響に関する検討
安斎 孝之樋口 博夫茂木 国男庄司 典嗣吉野 豊大関 好明信永 利馬
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1981 年 12 巻 p. 11-18

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抄録

今回, エソトノックス麻酔器を用いて, アネソキシン-50を吸入させ2, 3の実験用動物種のbehaviorに対する影響について観察し, 更にイヌにおいては一般所見, 血液性状, 血液ガスに及ぼす影響について検討した。
1.behaviorについては, イヌでは吸入中は体動がなく催眠効果が認められたが外科的深麻酔状態が得られなかった。日本家ネコ, カニクイザルにおいては数分間~10数分間にわたって催眠効果が見られたに過ぎなかった。マウス, ラット, 文鳥においては全くbehaviorに変化は認められなかった。
2.臨床所見では心拍数において吸入開始後減少する傾向が認められた。
3.血液分のうち, 赤血球数, 白血球数, ALb, Hb, クレアチニン, BUN, sGPTなどについては, 経時的に著変が認められなかった。
4.ヘマトクリット値においては, 硫酸アトロピンのみの前処置群で吸入中の減少傾向が認められた。
5.血糖においては, 吸入中の上昇傾向が見られ, 特に吸入開始後20分で顕著であった。なお吸入用のgasmaskのsettingにおいても上昇が認められた。
6.血液pHおよび血液ガスにおいては, 軽度の血液pH液の低下傾向とPCO2の上昇が見られ, 呼吸性acidosisの様相を呈した。またPO2で有意の上昇が見られ, 特にPaO2において吸入開始後20分より160mmHg以上の顕著な上昇を示した。
以上述べたとおり, アネソキシン-50の吸入によりコンベレン前処置群においても非前処置群においても生体に何らかの影響を与えることは避けられないが, その影響は軽微であり, 臨床において使用する上で危険と思われる所見は認められなかった。

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