抄録
雑種成犬28頭を使用し, キシラジンの拮抗薬としてヨヒンビンを応用する目的で, その投与量について検討し, 得られた成績は次の如くである。
1.ヨヒンビン (0.05~0.50mg/kg I.V.) でキシラジン投与 (2mg/kg, IM) でみられる鎮静作用, 徐脈, 呼吸数の減少, 体温の下降および過血糖に対し著明な拮抗作用が認められた。
2.ヨヒンビン0.25mg/kg以上の投与では興奮状態, 流涎, 頻脈などが発現し, 0.05~0.10mg/kg投与では副作用の発現も少なかった。
3.キシラジンの過剰投与 (5mg/kg IM) に対してもヨヒンビン (0.5mg/kgIV) で拮抗作用が認められた。
以上の結果から, キシラジンの諸作用はα2アドレナリン受容体を介して発現するものと考えられ, キシラジンの拮抗薬としてのヨヒンビンを応用する場合, 0.05~0.10mg静脈内注射が適当であると考えられる。