抄録
二論文の述ぶる所に據れば今日歐洲に於ては傳染性氣管枝肺炎 (ブラッセル病) は一般氣管枝炎及び氣管枝肺炎より區別せられる獨立疾患として認められてゐるのである。然し乍ら之の場合に於ても本病と腺疫性肺炎との區別は必すしも容易ならざるものの如くである。余は満洲に於て今日迄Gratzlの述べた病變像に酷似せる病馬數頭を解剖したが、當時本邦に於ては存在視せられざりし疾患に屬するを以て本病に對する充分なる注意を缺き、之が病原の判定に必要なる諸般の研究を遂ぐるを得なかつた。茲に本病に對する認識を新にし之が根本的解決を圖らねばならぬと考へてゐる。