日本獸醫學會雑誌
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馬流産菌ノ生物學的竝血清學的研究補遺
藤村 誠一豐島 武夫末永 武夫
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1926 年 5 巻 1 号 p. 15-20

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抄録

本邦ニ於ケル馬ノ流産モ亦泰西ノソレノ如ク其原因多樣ニ亘ルノ觀アルモ今日判然タルモノハ獨リB. abortus equiニ因ルモノノミナリ
本編ハSmith及Kilborne兩氏ノ所謂B. abortus equiト他ノぱらちふすB菌屬細菌トヲ生物學的竝血清學的ニ比較研究セル成績ノ概要ナリ
著者等ハ先ヅ本菌ノ肉汁培養無菌濾過液中ニハ他ノぱらちふすB菌屬細菌ヨリ寧ロ強烈ニもるもっと及まうす等ニ特異中毒症状並致死的經過ヲ呈セシムル一種ノ毒性物質ノ溶存セルヲ認メタルモ該毒性ハ極メテ不定ニシテ培養期間,培養基ノ性,培養基ノ種類及培養期間ニ於ケル培養基ノ水素いをん濃度ノ變化等ニ關スル反復試驗ノ結果毎常同一程度ノモノヲ得ルコト甚ダ困難ナルヲ知レリ然レトモ大體ニ於テ酸性ぐりせりん(4%)加肉汁ノ2-4週間培養濾過液ハ毒性最モ強ク且培養期間中ニ於ケル水素いをん濃度ノ變化モ亦僅微ニシテ5週間以上培養ヲ繼續スル時ハ著シク毒性衰フルモノノ如シ而シテ本培養濾過液ヲ以テ前處置セルもるもっと及まうすハ10-16日後ニ於ケル致死量2倍ノ濾過液對照注射ニ對シテ殆ント無反應ニ經過シ或ハ對照動物ニ比シ死期ノ延長ヲ見タルモノ多シ故ニ該濾過液中ニハ免疫元的價値ヲ有スル物質ノ溶存スルヲ認容シ得ベシ
次ニ馬流産菌ヲ皮下ニ注射(1/100-1/10白金耳)シテ流産セシメタル2頭ノ家兎ニ就キ凝集素ノ消長如何ヲ檢査セルニ極メテ徐々ニ遞減スルモノニシテ流産當初1:5120ノ凝集價ヲ示シタルモノ滿1箇年ヲ經過セル後尚1:160ヲ保持スルヲ認メタリ本菌ニ對スル家兎ノ正常凝集價(最高1:20)ハ殆ント之ヲ認メズ
本菌培養ノ乾燥性皺襞形成ト培養基ノ水素いをん濃度,新舊,乾濕及營養分ノ含有量等トノ關係ニ就テハ明ナラザレトモ發育良好ナル場合ハ形成モ亦旺盛ニシテぐりせりん加寒天ニ於テハ普通寒天培養ニ比シ遙カニ勝レルガ如クぱらちふすB菌及鼠ちふす菌ニ於テハ全ク其ノ形成ヲ見ズ
B. abortus equi及ぱらちふすB菌屬細菌ヲ以テ免疫セル家兎血清ヲ用ヒテ行ヘル交叉的凝集反應ノ結果ハ格段ノ差アリテ本菌ハ全クぱらちふすB菌ト別個ノ菌ナリト信ズルヲ可トス

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