應用獸醫學雑誌
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新強力強心利尿劑ウアバニンによる一小經驗
安達 幸治郎
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1938 年 11 巻 8 号 p. 548-551

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抄録

要するに前記二例は何れもフィラリア症に隨伴する心臟機能不全竝に腹水及浮腫に對するウアバニンの強心、利尿の顯著なる作用を認めたる興味あるものゝみを述べたが、他にも同様な治驗例多數あるも、紙面の都合上割愛した。而して第一例に於てはヂギタリスの内服其他の強心利尿劑を以て加療せるも所期の目的を達するを得ないので、偶々ウアバニンを試みたるに頻數なる脉摶減じ且つ緊張を加へ、尿量著しく増加し、一般症状に對しては、呼吸困難、心機の催進等快癒し、従來曾つて見ざる良効を收め得た。尚第二例にては著明なる心機障碍及腹水竝に浮腫を來せるものに對しても、良く作用を發揮して、胸部の鬱血症状頓みに減退して來たことは、ウアバニンの強心利尿作用の結果招來せられたものと見做したいのである。
我國では未だストロファンチンを危險な藥物としてゐる人々も少くはないと云ふ。然しそれはKストロフアンチンの過大量を使用した場合のことであつて、安全化されたGストロフアンチン即ちウアバニンの出現によつて、斯る不安は一掃され、やがては多くのクリニツクに君臨する日の速かならんことを希望して擱筆する。

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